サンレコのミックスコンテスト2022やってみた感想戦(前編)

サンレコを見ていたら、ミックスコンテストをやっており、
たまにはやってみるかと取り組んだら意外なほど収穫があったので、
それを振り返ることも含めて記事にしようと思います。
(ちなみに入賞することはないと思います笑)

 

 

 


元々ミックスは得意でないほうなのですが、
何度も自作曲をミックスするうちに色々な気づきも出てきて、
それを確認してみるか、というのが発端です。

 

いくつかよい気付きを得ていて、
①現時点での自分のミックス手法は、それなりには通用しそう。
 -EQ、コンプ、リバーブ等の基本の使い方
 -奥行きの作り方
 -音の配置
②そこまでのツールがなくとも、ある程度戦えるレベルのミックスはできそう。
 -今回はほとんどFL Studio20、少しだけNeoverbとRBassで味付け。
③ミックスって、音を混ぜるだけじゃなくて、音楽的な理解が必要なんだよな、当たり前ながら。
④その他感想として、ミックスエンジニアって業界的に大変なんだろうな・・・。
というあたりです。

 

 

 

作業の流れ

①とりあえず制作側のインタビューやプロ4人の作業記事を読む。
②(プロの音は聞かないまま)パラデータを並べて聞く
③パラデータを2mixにしたものをリファレンスに、ミックス作業する
④ミックスがある程度仕上がった段階で、プロ4人のミックストラックを聞いて比較
 音圧調整など最終的なマスタリングをする

 

 

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①とりあえず制作側のインタビューやプロ4人の作業記事を読む。


だいたい記事で感触を探ったという感じですが、
しいて言えば、曲をどう作っていたのか、プロエンジニアの作業内容はなんとなくわかったけど、、、特にドラムのかぶりの話、音入れ替え、中域の混雑回避の話は頭に入れましたが、ま、聞いてみないとね、という感じです。

 

 

②(プロの音は聞かないまま)パラデータを並べて聞く

聞いてみると、意外なほど音が成立していたというのがびっくりしました。
きれいに周波数が並んでいるという。
ただ課題もよく見えてきて、イントロ、ベースとドラムのリズム、中域の処理が試されているなとわかりました。
あと、大体のミックスの方向性もほぼここで決まってて、
アーティスト側のこの時点での作りたい方向を再現するという事を目指すことにしました。

 

③パラデータを2mixにしたものをリファレンスに、ミックス作業する


ここで具体的な作業に進みます。

  • レファレンスとして②の2mixを使いました。
    一般的な目標とするレファレンスを置くのではなく、もとの2mixがどれだけよくなったのかを確認していくような作業をしました。

  • ドラムのかぶりが~と記事にあり確認しましたが、僕はほとんど気にならなかったです。
    また、このタイプの曲だと、ドラムとベースのパートごとの音量差が変わるとグルーヴが出にくいと経験的に感じていたので、ドラムは出来るだけ微調整程度に留めました。

  • ベースは、トランジェントを少し処理して、薄くディレイもかけました。
    これは聞いたときにベースとドラムは録音時点ではある程度の音処理もされていてグルーヴしてたはずだが、パラデータとした際はその味付けを消してフラットなものを渡したのではと推測したためです。

  • 全体的に、中低域のあたりを少し膨らませる処理をしています。
    中高域が混雑している指摘が記事にありましたが、僕はこの曲のグルーヴの肝は、ベースとドラムの絡み vs 上もの・コーラスにあると感じました。そしてこの対比により必要以上に上ものが混雑しているように聞こえるのではと考えました。そのためあまり上ものを分離させるというところには注力しませんでした。

    一方中低域は、対比を際立たせる面でも密度が少し薄くて、またベースに休符が多いので空隙が出来てしまう印象があり、中低域は少しだけ埋めると判断しました。

  • コンプはいくつかのトラックには使いましたが、あとはマスターでマルチバンドコンプを使ったくらいです。
    多くのトラックが整っている印象で、トラック単位で音圧上げてしまうとバランスが崩れそうで、またロングトーンにわざわざかけるのも趣味じゃないというのもありました。

  • 前後感は、音量、EQのハイ落とし、ショートリバーブを組み合わせてつけていて普通のことしかしていません。

  • パンとEQはそれなりに整理しました。
    低域から高域まで、左右両方とも綺麗に鳴るように配置しました。
    あと、パートごとのステレオ感分離は、隣のパートを邪魔しそうなら狭めました。
    これも普通のことしかしていないですね(笑)

  • メインボーカルのリバーブにだけ、Neoverbを使っています。
    それ以外はDAW標準搭載のリバーブです。
    頑張れば、Neoverb使わなくてもやれるかもと作業途中には感じましたが、意地ははらずNeoverbを採用しました。

  • マスタートラックには、RBassで薄く低域を補強して、マルチバンドコンプをかけて音圧を上げていました。

    そこに音圧チェック用にYouleanのフリーのラウドネスメーター、スペアナ代わりのEQ、あと音質解析もかねてOzone9 ElementsでマスタリングアシストをかけるとEQがどのようにいじられるのかも確認しています。

    またスピーカーシミュレーターとして、DOTECのフリーのDeeSpeaker、NX OCEANWAY Nashvilleを使い確認しました。

    なおここでは自作のモニタリング&メータリングプラグインプリセットも使っています。

     

    beatnicster-music.hatenablog.com

     

 

④ミックスがある程度仕上がった段階で、プロ4人のミックストラックを聞いて比較
 音圧調整など最終的なマスタリングをする


プロの方々のミックスを聞いてみましたが、ものすごく音圧が高くて驚きました。
自分のミックスの音圧を上げる作業をここからしましたが、
音圧を上げるとゆがみそうな中相当苦労しました。
結局プロの方の-1LUFSくらいで落ち着けました。

一方自分のミックスとプロの方のものを比べると、自分の耳ではまあまあ聞けるもので、自分のミックスが一番自分の好みだなという事で安心しました。

 

 

前編は大体ここまで。

後編は気づいたこと、あと作業上のコツなどの話をします。