KORG Gadgetアプリによるduremixというものに参加して、liliさんの作られた曲のリミックスをさせて頂きました。(ご提供ありがとうございます)
Lurid Settlement by lili (remix by beatnicster) https://youtu.be/IRCdqWG40qM
こちらのリミックスについて、ここで完全解説しようと思います。
普段はここまで言葉にしないのですが、かなり狙いが多くあるので、聞きどころのヒントにしてもらえたらと思います。
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元曲を聞いた第一印象は、このメロディを4声にしたら何か起こりそうだなという直感がありました。
その4声のイントロでは一声ずつパンも音も振り分けましたが、バックの音がしっかり入るとシンセ二台にまとめています。(4声アレンジは、感覚でやってます、、、。)
このアレンジを採用した時点でウォブルベースがそのままだと合わなくなったため、切り貼りして新たなベースラインを組み上げています。やはり元曲にあったウォブルベースは粘りが出るので、そこは残したいという事で1,4拍のみ残してChiangmaiのFMベース=VPMベースを入れつつPCMベースも混ぜて、イメージとしてはジャストだが少しリズムが揺れるグルーヴィな感じを狙っています。
特にFMベースはどっしりとした感があって今回も採用しました。
(ベースが3トラック)
メインのパートが終わると、ピアノシーケンス、シンセも合わさって小さなピークを作りました。これはメロディをモチーフにテンポを倍にしています。
このメロディはペンタトニックでできており色々なコード進行に合うなとも感じていたので、様々なコードの上にどんどん入れ込んでいます。
この後はドラムパートがとにかく気持ち良かったため、ピアノを弾きました。
自分の曲なら暴れるところですがリミックスという事で失礼のないようにスケールアウトもせずクオンタイズかけて控えめにしています。
このピアノはSalzburgを使おうとしたのですが合わなかったのでMarseilleのアコピとChiangmaiのエレピです。またここにも裏ではメロディをモチーフにふわっとシンセが入っています。また、元曲の3、4拍目のブラスぽく鳴るシンセ音もアレンジして入れています。これはあまり活躍しきってないところもあったので、リミックスとして使い切ろうと狙っています。
(ふわっとしたシンセはテーマメロディの譜割を変えて)
(ブラス感あるものはフレーズをアレンジ)
そこからクラビとオルガンのファンクパートになだれ込んでいきます。オルガンはMarseilleと Phoenixを混ぜてます。これは引き続きドラムパートをフィーチャーするためのもので、後半少し16分裏を狙うようにアレンジしていますが、とにかくこのドラムが美味しい事を示す狙いです。
(なお、元々はカシオペアのfightmanの間奏のようなソロの掛け合いを考えていたのですがパッとせず、ファンキーにガンガン進めることとしました)
アクセントを入れるために4分音符分あいだを開けてまたメインメロディに戻った後は、ウッドベースのポリリズムです。オクターブを動かしているのでわかりづらいかもしれませんが、これもまたメインメロディをモチーフにしています。
ここの後半は、少しヒューマン感あるドラムソロを入れています。これは元曲のドラムパートへのアンサーとして対比を示す事を狙いました。ここはLondonで作ったのですが、Recifeに少し劣るような微妙なPCMクオリティ感も逆にうまくいかせた気もします。(なんで、RecifeとLondonでクオリティ違うのか気になるんですが)
(ウッドベース)
(お気に入りのドラムソロ)
また、このパートは次のFuture Bassパートにつなげるための重要なもので、元曲の雰囲気をあえてなくしています(ベースがモチーフを弾いてはいますが)。これは次のパートはどうしても元曲とは全く違う雰囲気を組む必要があったため、あいだを取り持たせる役割を持たせたものです。
ここまでの話で分かる通り徹底的にメロディをモチーフとして使う事がテーマのひとつとしてある中で、小節をずらしたループを使うことは必然でした。
どういうことかというと、このF-G-C-B♭-Fというメロディのループの開始位置を変えて、C-B♭-F-F-Gとするということです。またそのようにするためにはコード進行も変えて雰囲気も全く違うものにしないとないと、テーマの印象が残っているので引っ張られてしまいました。そこでFuture Bassぽいアレンジを採用しています。(とはいえ、多少音色はテーマ部分を使いまわしています)唐突で、ジェットコースターに聞こえるアレンジも実はそのような狙いがありました。そして、ここが一番狙ったところです。
(モチーフをアレンジした、メロディ再構築)
そして、ここで一旦曲は終わらせてみました。
ここからは映像作品のエンディングのようなものを演出したくて、電話を鳴らして元曲アレンジをそのまま流しています。リミックスで元曲をそのまま流すことは逆に新鮮で、リスペクトを示せるなと考えています。これもテーマが短い事を活かせるなと採用しました。
最後に、触れてない部分の音色の話をいくつかしておこうと思います。
まずテーマのメロディは、元で使われていたBrusselsにMarseilleのリードを混ぜて、聴かせどころではChiangmaiのベルを入れています。やはり音を混ぜる際のMarseilleの万能感はよいので、よくこの手は使っています。
またシンセはPhoenixとWolfsburgを混ぜています。これも自分の中では定番で、質感がうまく収まる気がしています。
シーケンスは、Chicagoです。これは定番のアシッド感があってお気に入りですが、大体エフェクトを強めにかけて印象を変える事が多いです。
またSEについては、LondonやKingstonの定番と合わせて、DublinやMarseilleで作っています。様々なモジュレーションをかけられてかつ素の音を出せるのでDublinはよく使いますが、ちょっと違う系統のものも考えてMarseilleで作ってみました。
さて。以上が長々となりましたが解説となります。
是非是非またもう一度聞いてもらえるとありがたいです!!